水の入った円筒シェル容器を設置した振動台へ周期外力を作用させて、シェルの変位応答、およびシェル中央部周方向のひずみ応答を測定する実験を行った。シェルは厚さ0.5mmの塩化ビニールフィルムを用い、半径42mm、高さ150mmの寸法を有する。塩化ビニールフィルムを採用した理由は2つある。1.厚さ0.5mmのフィルムが入手できる。2.フィルムを接着剤で剛に接合できる。これらの性質は弾性範囲が広い高分子材料として良く利用されているポリエステルフィルムには見られない特徴である。 外力振動数を50Hzから600Hzまで変化させた水深120mmとしたシェルの周方向のひずみ応答を16枚のひずみゲージを貼付して測定し、FFTを用いてスペクトル分析を行ない、周方向のフーリエ展開次数0、1、…、7の周方向応答モードを持ち、外力振動数のそれぞれ1/3、1/2、1、2、および3倍の振動数を有する時刻振動応答における振動台応答と同位相、および逆位相の振動成分を解析し、次の応答を観測した。1.周方向フーリエ展開次数0、1、…、7の固有振動数に対応する応答。2.周方向のフーリエ展開次数1の振動モードが共振する主共振領域において、周方向高次の振動モードを有する分数調波振動、高調波振動が出現すること。3.周方向のフーリエ展開次数4〜7の振動モードの2倍、および3倍の高調波振動が固有振動数の1/2、および1/3の外力振動数において共振すること。4.1/2、および1/3の分数調波振動が分岐する振動は、周方向の振動モードに多くのフーリエ展開次数のモードが含まれモード特定できない。 シェルの寸法、シェル材の厚さを変え、分数調波振動が分岐する振動を測定装置の精度が良い領域に移し、この振動の分岐する条件、振動モードの特定を行う予定である。
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