パソコンに2枚のAD変換ボ-ドを取り付け、マシン語を利用した読取り制御を行ない最大32チャンネルのデ-タが収集できるAD変換器を作成した。円筒シェルは塩化ビニ-ル・フィルムを利用して作成した。この円筒シェルに水量変えて水を入れ水平振動台に設置した。加速度および振動数を変えた正弦波外力を振動台に加え水の入った円筒シェルの振動実験を行った。応答は変位4個所、円筒シェル中央部の周方向に貼付したひずみベ-ジから得られるひずみ16個所、計20個所で測定した。 最終的に、円筒シェルは塩化ビニ-ル・フィルムを利用して作製したが、アルミニウム缶、ポリエステル・フィルムを利用した試験体を作製して、試験体としての適正を検討した。 変位応答に含まれる外力振動数と同一の振動数を有する基本振動、外力振動数の1/3倍、1/2倍および3/2倍の振動数を有する分数調波振動、および外力振動数の2倍、3倍の振動数を有する高調波振動に分解して各振動数に対応する共振曲線を得た。また、円筒シェルの周方向に貼付したゲ-ジから得られたデ-タを解析して、各周方向展開次数(シェル応答の周方向の振動モ-ドを表す)毎の基本振動数、上記の分数調波振動、および高調波振動の応答の共振曲線を得た。これらに線形理論から予測できない非線形振動、すばわち分数調波振動、および高調波振動が含まれていることを示す。さらに、振動数が大きなバルジング振動領域において、スロッシング振動やスワ-リング振動が生起する現象を得た。この現象の生起を報告した例はおそらく最初である。 実験で得られた固有振動数、基本振動の応答と線形理論解析から得られる応答を比較して、線形解析から予測できる応答の精度を検討した。今後、非線形理論に基づいた理論解析を行ない、実験から得られた応答が理論解析に基づいてどこまで解明できるか検討したい。
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