1.鋼管で被覆された根巻き柱脚の性能確認試験を行った。この構法は、根巻き部を鋼管で被覆し併せて肋筋の省略を可能としたもので、優れた施工性と力学的性能を有することが、当研究室の既往の研究により確認されている。そこで本研究は、この構法に対して、実験により、応力伝達機構を明らかとし、終局耐力式、剛性評価式を提案することを目的とした。 2.試験体の総数は24体で、その鋼管柱は全て□-150×150×12とした。実験変数は、根巻き高さ(被覆鋼管の高さ)、根巻き幅(被覆鋼管の断面せい)、被覆鋼管の板厚、コンクリ-ト強度および主筋径とその配置である。載荷は試験体柱頭の正負交番水平載荷である。なお、この研究では、RC地中梁を載荷治具を兼ねた鋼梁で置き換え費用の低廉化を計った。 3.実験の結果、次の耐力決定要因およびその相互作用を定性的・定量的に把握することができた。 1) 立ち上げ主筋の降伏 2) 立ち上げ主筋の付着・定着破壊 3) 被覆鋼管の支圧降伏 これらの様相が把握できたことから、また、応力伝達機構のモデルを併用して、終局限界に対する耐力式を提案することができた。 4.同じく、使用限界と思われる状態での剛性評価式を提案することができた。 5.以上から、本構法の設計式が提案できたものと考えているが、被覆鋼管の板厚の下限値は、その影響が多方面に及ぶことから、把握しきるには到らなかった。しかし、市販品の角形鋼管を用いるならば、この究明は不要と考えている。
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