研究概要 |
この研究は板状PC部材における群鉄筋の重ね継ぎ手に関して、継ぎ手率、継ぎ手重ね長さ、直交筋の内、外をパラメ-タとした実験を行い、部材の剛性、耐力または靱性を確保する為の要件を検討し、群鉄筋の重ね継ぎ手の設計上の問題点を探り、今後、実用サイズの鉄筋によるこの種の研究への手掛かりとするものである。昨年度は、1)継ぎ手長さ、継ぎ手率をパラメ-タとした群鉄筋重ね継ぎ手の曲げ強度実験、2)純重ね継ぎ手区間に限定した各種重ね継ぎ手長さの引っ張り特性(みかけの応力歪み関係)実験ならびにその結果を用いたRC曲げ終局強度理論による曲げたわみ解析を行い良い成果を得た。今年度は次の2項目について実験、解析を行った。 1)D13を用い付着割裂の生じ易い外筋継ぎ手で、15d,20d,25dの全数継ぎ手に、はねだし防止筋(継ぎ手両端近くにヘアピン状のD6を直交にさす)をかけ、その有無の曲げ強度、靱性に及ぼす影響を求め(シリ-ズI)、ついでシリ-ズIIとして、鉄筋降伏以前に明らかに継ぎ手付着破壊する15dと、降伏後5〜68Yまでは靱性を示す25d重ね継ぎ手に、4種類のはねだし防止筋を設け、その効果を調べた。鉄筋は0Y=3770kg/cm^2のD13、コンクリ-トはF_c=235〜255kg/cm^2である。実験の結果、25dでは耐力、靱性とも継ぎ手なしと同等以上で防止筋の効果は無く、20dでは3δY以降の耐力の急低下を防ぎ、15dでは鉄筋降伏以前の継ぎ手付着破壊は防げないが、以後の耐力の急低下は防げるようである。4種類の防止筋のうち短いヘアピン状のD6を分散して設けるSSS型は耐力、靱性の保持に最も効果があった。 2)前年度の引っ張り特性実験について2次元弾塑性FEM解析を試み、継ぎ手をもつ梁の曲げたわみ、継ぎ手の鉄筋応力分布、付着応力分布などを比較的精度良く解析できる事を示した。
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