1.模型材料の開発 RC構造物の動的応答に関する風洞実験を行うための模型材料の開発を行った。幾何学的に相似で、かつ空力弾性学的にらも相似な模型を作るためには、質量比、弾性パラメータ、減衰比の一致が必要である。風洞風速の範囲内で煙突の渦励振などの共振減少を再現するためには、ヤング率が実物の1/2以下であることが望ましく、また質量は実物と一致している必要がある。種々の配合比による試験体の製作と力学的試験の結果これらの条件を満たす模型材料としてエポキシ樹脂25%、硬化剤4%炭酸カルシウム10%、鉄粉61%の重量配合比によるものが最適であるとの結論を得た。 2.上記の配合比による模型材料によって薄肉直円筒を作製し、風洞実験により、その歪応答を計測した。その結果、風洞風速の範囲内で明瞭な渦励振現象が再現でき、RC煙突の風洞実験用の模型材料として使用可能であることを確認した。 3.簡易煙突模型による風洞実験と実測との比較 実物の200mRC煙突と近似的に相似な模型を本材料によって作製し風洞実験を行った。振動モード、歪応答、頂部加速度応答を計測した。振動モード、頂部加速度応答に関しては実測のデータが存在するのでこれと比較した。ただし、レイノルズ数の問題から、表面の滑らかな模型の他に粗さを付けた模型による応答も計測し、実測における高レイノルズ数状態の疑似的な再現に注意を払った。得られた結果は、ほぼ満足のいくものであったが、模型の減衰定数や表面粗さの選定などに、いくつか問題も残った。今後は、これらを改良した精密相似模型を作成し、風洞実験を行う予定である。
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