自然エネルギー利用の熱源として、また、都市熱環境解析の一環として、地表面及び地盤内の伝熱は重要である。2年度にわたる水分移動を考慮した地表面・地盤内の伝熱に関する実験的研究において、初年度に得られた成果は以下の通りである。 1.五種類の地表面被覆を持つ地盤の伝熱長期測定 裸地、芝地、コンクリート、アスファルト、透水性アスファルトの5種類の地表面供試体(各、直径4m)を平坦な地盤上に設置し、長期測定を継続中である。長期測定データをもとに、各供試体表面の日射吸収率、長波長放射率、対流熱伝達率等を推定した。また、地表面及び地盤内の温度および熱流測定結果から各地表面性状の違いが温度変動および表面熱収支に与える影響を明らかにした。さらに、降雨及びそれ以後の乾燥過程の地表面・地盤内伝熱特性を解析するため、散水による降雨想定実験を行なった。 2.土壌の物性値の測定 熱伝導率測定装置を用いた熱伝導率、同装置を利用した過渡応答による熱拡散率の測定、電子天秤による含水率の測定を継続中である。今後さらに水分拡散率等の測定についても検討する予定である。 3.地表面熱収支及び地盤内伝熱の定式化 二次元差分法による地表面熱収支及び地盤内伝熱の計算法を開発し、建物床下を含む地盤の熱特性を解析した。同計算法は、換気と併用した地盤冷熱利用のパッシブクーリング手法、自動開閉式床下換気口の開閉設定温度の最適化などのシミュレーションにも利用されている。今後、土壌の物性値の可変化、更に三次元への拡張を行なう予定である。
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