研究課題/領域番号 |
63550430
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 徹夫 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (40150502)
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研究分担者 |
塩月 義隆 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (40150487)
片山 忠久 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (80017938)
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キーワード | 地盤内伝熱 / 水分移動 / 地表面熱収支 / 水分蒸発 / シミュレ-ション / 熱物性値 / 含水率 / 長期連続観測 |
研究概要 |
5種類の地表供試体を持つ地盤の垂直温度分布、表面熱流の連続測定を本年度も継続した。また、地盤内に設置した電極による土壌の電気抵抗値から、土壌の含水率測定も定期的におこなった。その結果、日射吸収率が大きく表面からの水分蒸発のないアスファルト舗装面下部では深さ80cmにおいて、他の地表面下部より通年2℃程度高温であった。また、地表面からの水分蒸発のないコンクリ-ト舗装およびアスファルト舗装の下部地盤は常に高含水率であった。これらの現象は後述する伝熱シミュレ-ションでも確認された。地表供試体近傍の地盤から採取した土壌を用いて、その熱伝導率、容積比熱を含水率を変えて測定した。併せて、土壌の電気抵抗値と含水率の関係も測定した。土壌の熱伝導率は含水率の増加に伴って大きくなり、絶乾状態と飽水状態では約2倍の違いがある。また、容積比熱も含水率の増加にともなって大きくなる。 前述の長期測定結果、土壌の熱物性値の測定結果を用いて地盤の伝熱シミュレ-ションをおこなった。地表面からの水分蒸発、地盤内の水分移動の取り扱いによりAおよびBの2種類のモデルを設定した。モデルAは地盤内の熱物性値の含水率依存性を考慮し、地盤内の水分は土壌の含水率勾配により移動する。モデルBでは地盤の熱物性値は定数として取り扱う。また、地表面での水分蒸発潜熱を考慮はするが、その値は完全濡れ面の水分蒸発に蒸発比を乗じて補正する。計算値と実測値の比較の結果、地盤内の水分移動を考慮したモデルAは考慮しないモデルBにより比べて、より正確に現実の地表面での熱収支および地盤内の伝熱現象を再現する。但し、地盤内の水分移動の影響を考慮せず、地表面での蒸発潜熱を地表面温度および蒸発比から求めるモデルBでも、地盤内の温度は実測値から大きく外れることはなく、地表面の日変動の応答性などを除いた長期的な変動を予測するのは十分な精度といえる。
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