1.指針的土地利用計画のレベルで、我国都市計画システムの変化動向の表われとして、部門別マスタ-プラン(再開発方針等)、地区別計画の位置づけが強化されていることを示した。 2.拘束的土地利用計画のレベルで、近年の我国都市計画システムの変化動向として、(1)特定街区、総合設計制度の見直し、(2)建築基準法の形態規制の見直し、(3)再開発地区計画制度の創設、(4)現在進行中の大都市住宅供給法に関連する用途別容積率方地区計画、住宅地高度利用地区計画等の新しい地区計画の役割等を検討し、そのような動向の背景と意味を考察した。都市型社会における既成市街地再編のための新しい都市計画システムが生まれる過渡期として位置づけられる。 3.自治体レベルの動向として、第1に地区計画制度の新しい運用事例をまとめた。広島市、大阪市、さらに東京都区部にみられる都心居住を促進するための広範囲にわたる地区計画の適用について考察し、第2に、東京都心4区で住機能確保のための要綱による住宅付置義務制度の経緯、内容、効果等を検討し、既成市街地を土地利用面で整序するための計画規制の新しい動向を考察した。 4.新しい都市計画システムの内容として、昨年度研究した先進諸国における様々な制度、手法展開の共通項、特徴としてネゴシェ-ションによる計画システムを抽出した。 5.我国におけるネゴシェ-ション型都市づくりの事例として、制度化されたものとして再開発地区計画制度、制度化されていないものとして、横浜市の「街づくり協議」制度をとりあげ、その内容、経緯、さらに通用状況について検討を加えた。また後者については4つの類型を示し、さらにその中からひとつの理念型を導いた。
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