研究概要 |
1.都市化社会から都市型社会への変化に伴い、都市づくりの重点が新規開発から既成市街地再編、再開発へと移行している状況を、経済社会の変化要因と併せて検討した。また具体例としてロンドン、パリ、ニュ-ヨ-クの諸都市における状況をまとめて示した。 2.都市化社会の都市づくりの制度システムとして位置づけられる近代都市計画精度の特徴を、イギリス、西ドイツ両国を対象に検討し、これら近代都市計画制度を生んだ諸国における都市計画システムの特徴である土地利用計画の二層構造制が、既成市街地再編に対しては、限界があることを示した。 3.近代都市計画システムが対応できない既成市街地への都市計画的対応として、先進諸国が様々な制度、手法を創り出していることを示した。具体的には次のような典型例を示した。 (1)イギリス-URBAN DEVELOPMENT CORPORATION(UDC) (2)西ドイツ-建設法典の第34条第3項規定 (3)フランス-ZONE d'AMENAGEMENT CONCERTE(ZAC) (4)アメリカ-INCENTIVE ZONING,INCLUSIONARY ZONING (5)日本-再開発地区計画制度 その結果、これら新しい都市計画システムの基本的要素のひとつとして、公共と民間がネゴシェ-ションによって計画内容を固めてゆくネゴシェ-ション型都市づくりが位置づけられた。 4.ネゴシェ-ション型都市計画システムの我国における典型例として、横浜市が展開している「町づくり協議」制度について、その経緯、内容、具体的運用状況について詳細に検討を加え、そこから、今後の都市計画システムのあり方として、ひとつのモデルを示している。
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