研究は4つのステップから成っている。各ステップごとの研究成果は以下の通りである。 1.大規模災害の事例解析 関東大震災、伊勢湾台風、函館大火、鳥取大火など典型10災害について、現地に赴き、関係機関からのヒアリングや資料収集を行ない、未発掘の資料を見出すなど、大きな成果を得た。復旧復興要因を人的基盤、資材基盤、空間資源基盤、情報基盤を軸としたマトリックスとして体系化することが、事例調査で可能となった。 2.復元力モデルの作成 事例調整結果をふまえて、住民の復旧・復興過程について、危険回避期、混乱期、応急対応期、復旧期、復興期の時期区分に対応した、復旧・復興のための課題と需要を整理し、復旧需要モデルを作成した。応急住宅需要は被災戸数の10〜20%、がれきスペース需要は全域戸数に10〜20m^3を乗じたもの、といった貴重な数値を得ることができ、この結果をモデルに組み込んでいる。 3.モデルの適用 大阪市を対象にして、上述のモデルの適用をはかり、復旧・復興時におけるマンパワーや空間の充足度をチェックした。震度6程度の地震を想定した場合、家屋の被災調査のスタッフが少なくとも3千人必要なことまたがれき置き場や応急住宅用地が少なくとも100ha必要なことが明らかとなった。 4.復元力からみた都市の類型化 持久自力型、周辺依存型、広域疎開型などの類型が抽出されつつあるが、現在作業分析中で、今後の課題となっている。
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