都市の土地利用は、高密度にしかも、立体的に混合する。従来の土地利用の研究は土地上で行われる土地利用行為をすべて一つの利用区分でとらえている。ところが、実際の土地利用行為である、建物の床面の利用は、1階は商業、2階は業務、3階以上は住宅など立体的に混合していることが多い。とくに、土地利用強度の大きい都心地区の商業系の用途地域内においてはさらに複雑な混合の形態を示しており、土地利用の状況を単に平面上に投影するという、従来の手法ではとらえきれない複雑さがある。そこで、コンピュータグラフィックスの手法を用いて土地の中心部における立体的土地利用をデータベース化してその立体的密度と混合の解析をおこなう。また居住者の意識と、密度や混合の状況との関連について分析する。 都市計画における規制緩和が、とりざたされている現在、実際の土地利用行為がとのような状況にあるのかを、厳密にとらえ、解析する手法を開発することはきわめて意義のあることとかんがえる。 本年度の研究は、次の3つのことを行った。 (1)大分市の中心部の商業系の用途地域内の約4Km^2を対象として、その立体的土地利用の現況を詳細に調査した。すなわち、対象地域内の建物の各階の土地利用状況を踏査した。 (2)対象地域内の建物の平面図を作成して、コンピュータに入力した。そして(1)の調査結果を入力して、データベース化した。建物各階の用途を細区分して、その利用区分と面積さらに、X、Y座標としての位置データがその内容である。 (3)混合度指標としての、シンプソン指標(面積と利用単位数を用いた2指標)や、密度指標を用いた解析をおこなった。住居系用途の集合住宅が混合しやすいことが分かった。
|