1.用途変更された公共建築の実態調査ーーーアンケート調査により、既に概略の分かっている施設の内、内容的にこれまでの事例と異なった特徴を持つ可能性がある施設20施設を追加調査した。それによって、(1)東京郊外の人口急増市の庁舎の変遷には共通した特色があること(2)木造既存建築の用途変更のほとんどが改装工事以下の工事グレードで使用内容の変更が行われていること(3)プランで予想した通り昭和初期のRC造建物がデザインはユニークだが、改修工事が軽微で十分な用途変更がされていないこと等々が分かった。昨年度までの調査に今年調査分を加えて分析し、日本建築学会に論文応募した(採否結果未定)「公共建築の用途変更の傾向と要因」 又、降雪地域人口減少地域の調査が全く不足していたため、山陰(金沢、福井、松江、津和野等)東北(会津若松)の調査をした。歴史的建造物の活性利用の例は新たな発見があったが用途変更について既調査地域との差が無いことが分かった。 2.東京郊外の人口急増市庁舎から集会施設への用途変更の典型として、旧小平市役所を取り上げ、様々な立場の職員から聞き取り調査をした。併せて周辺の同様な市について照合を行い、人口急増市の庁舎の変遷並びに用途変更には共通点の多いことが分かった。又、葛飾区東立石保育所の用途変更を取り上げ、使用者である保母の意見も含めての詳しい聞き取り調査を行った。保育所は戦後から一貫して建設され続けている公共施設である。保育内容の向上、保育基準の向上等によって同じ保育所でも建物が内容が違ってきている。その差を縮める為の改修工事である。結果について共栄学園短期大学紀要第5号に発表した。「保育内容の変化と建物の変化 葛飾区東立石保育園改修工事の場合」 3.現在も継続中である。
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