用途変更時には、プランの変更が必要となる。新旧の用途と新旧のプランと改修工事内容の3者の関係を明確にしておくことは用途変更計画の基本である。プランは、(1)面積と階数、(2)出入口の位置と形、(3)室及び交通空間の連結形、(4)室の広さ形と内容、という4つの要素に分けて考え、本年度はこの中の(2)出入口の位置と形、について取り上げた。出入り口は、利用者が道路から敷地を経て建物と接するところで、主出入口の位置と形は、施設の「利用タイプ」によって違ってくる。本研究では「利用タイプ」を(1)利用者の特定or不特定、(2)利用時間の長さ、(3)施設への出入口の随時or規定、の観点から見て、調査事例を6タイプに分類し、用途変更前後のプランを比較し、以下のような結果が得られた。 1.プランの構成要素のうち、出入口の位置と形は道路からのアプロ-チの仕方と受付タイプと履き替え方式などに表れ、それは用途によって異なる施設利用者の利用タイプによって違いが生じている。 2.新築の時は用途に合わせて設計されるため、利用タイプ別の特徴と新築時の出入口の形は使い勝手上の問題が無い場合がほとんどであった。 3.工事グレ-ドは主として建築以外の外在的事情で決定されている。 4.実態調査の結果を分析して次のような事が分かった。(1)用途変更に伴う出入口の変更は利用者の利用タイプが類似しているかどうかで必要性が決まる。(2)利用タイプの類似した用途への変更では工事グレ-ドに関係なく出入口の不都合が生ずることは少ない。(3)類似していない用途に変更する場合は出入口を変更する必要が生じることが多い。変更が実現されるのは工事グレ-ドが高い場合であり、工事グレ-ド(1)(2)では不都合が生じることが多い。(4)履き替え方式の変更は長時間利用型や宿泊型から他のタイプへの用途変更とその逆方向の用途変更の場合がほとんどで、工事グレ-ドは(4)以上の場合が多い。
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