研究概要 |
今年度の目標は用途変更における平面変化の構造を明らかし合理的な平面計画の考え方を提示することであった。本論文では建物の形を平面に代表させ,平面を次の4つの構成要素に分けて考えた。(1)面積と規模。(2)道路及び敷地との関係。(3)室と空間との連結形。(4)各室の面積,形,仕上げ,設備。分析方法としては、実態調査の結果得られた用途変更前後の平面109事例を、各要素毎に1例づつ比較分析し,建物の用途及び使用内容と建物平面との対応関係の明らかするという方法をとった。 その結果、用途変更の結果生じた使用内容と用途変更後の平面上の変化には一定の計画場有効な法測があることがわかった。面積は同一用途なら、一施設当りの面積も質的内容を示す利用者一人当り面積も経年によって大きくなる傾向にあるが、施設の用途によってその率に違いがある。用途変更の計画においては、新たな用途の種類によって、その面積拡大の傾向の違いを予測し、倉庫・予備室などの余裕面積として、あるいは複合施設として、予め建物にその余地を用意する必要がある。道路・敷地との関係は、施設利用者の施設へのアプロ-チの方法であり、主として建物の出入口に違いが現れる。利用方法の違いを立ち寄り型など5つのタイプに分類し、出入口の位置と受付形式と対応し、改修工事グレ-ドというスケ-ルで表現した改修工事の程度と関連付けた。 室と空間の連結形(1)ワンル-ム型,(2)廊下型,(3)センタ-型の3つにわけ,段階と水廻りの位置を組み合わせてプランタイプをつくり,用途変更前後の平面に適用し,用途とプランタイプの関係を明らかにした。更に、建築関連定期刊行物8誌,約10年間の改修工事に関する掲載事例から,用途変更の設計資料となるものを整理して,手法別に表にまとめ,用途変更計画へのデザイン手法としてまとめた。
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