東京都内に新たに設立された高齢者向けサービス付き住宅、地域に小規模分散配置している高齢者アパート、従来の軽費老人ホームA型の建築条件、サービス条件の評価及び居住者に対し面接調査等を実施し、下記の知見を得た。 1.高齢者向けサービス付き住宅と軽費老人ホームの環境条件と居住者の適応状況の比較 高齢者向けサービス付き住宅の建築条件とサービス条件は軽費老人ホームA型に比べて改善され、居住者の建築環境へのクレームが減少している。高齢者向けサービス付き住宅では、居住者の社会的活動性、対人接触、モラール、心理的苦痛がいづれも改善され、この新たな居住環境が、居住者により良い適応をもたらしていることがとらえられた。 2.住戸集合規模が居住者の適応に及ぼす影響 高齢者向けサービス付き住宅(40戸)と一般の高齢者アパート(10〜20戸)を比較すると、高齢者アパートでは対人接触が少なく、居住者のモラールが低く、無気力感、孤独感が高い。この原因として、高齢者アパートにおける共用施設や社会参加プログラム等建築条件、サービス条件上の不備を指摘した。 3.高齢者居住施設におけるストレスとその対処法の検討 各種高齢者居住施設の職員、居住者への面接を通じ、高齢期に特有のストレスの種類をさぐり、通常用いられる情動コントロールや自己コントロールなど各種ストレスマネジメント方法の高齢者における有効性について検討した。
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