海洋、河川、湖沼などの広域水圏に浮遊あるいし懸濁する微細粒子群の質量、粒子数濃度および粒径分布を同時に、かつ連続的に測定する方法の開発を目的として、本年度においては以下の項目について検討をおこなった。 1.数種の周波数レ-ザ光に対する室内実験での質量濃度などの測定精度の確認、および粒径分布算定法の確認。0.6328、1.15、3.39、10.6μmのレ-ザ光波長を用意して、模擬懸濁液の各濃度に対する減衰量の変化を測定した。その結果、分散媒の種類による影響、測定濃度限界などに今後の検討を要するが、何れの波長、種々の懸濁粒子群、分散媒による懸濁液においても光波減衰量理論の適用性を確認した。従って、すでに報告した数波長レ-ザの減衰量による粒径分布の理論的算定法に対する実測定の可能性を確認した。 2.現場計測実験による問題点の抽出と解決法の検討、計測システムの簡略化、空間的、時間的計測量の実用性の確認、および光ファイバの使用による多点計測および多目的計測装置の検討。 現場計測を行うに当り、河川、人工流路を選定して、レ-ザ光減衰特性の測定を中心に検討した。河川においては、定期的に河川水を捕集し、さらに河床堆積物を用いて室内にシミュレ-トした河川流の中での懸濁粒子群のレ-ザ光減衰特性測定を試みた。人工流路では懸濁粒子群の種類による混合成分の変動に伴う減衰特性を測定した。その結果、現場測定における問題点を考察し、本計測システム、方法における有効性を確認すると共に、光ファイバの購入により、装置の基礎特性の測定、システムの簡略化などを行った後、河川における現場測定を行い、実測定における種々の条件の把握などから装置、方法の改良に対する知見を得て、今後の方向を確認した。
|