研究課題/領域番号 |
63550466
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
今井 直哉 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80063139)
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研究分担者 |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学部, 助手 (40185020)
鞠子 正 早稲田大学, 教育学部, 教授 (00063454)
橋本 文作 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50063269)
山崎 純夫 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20063240)
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キーワード | 鍋山累層 / 出流累層 / 下部石灰岩部層 / 中部ドロマイト岩部層 / 上部石灰岩部層 / ナップ構造 / 葛生地域 / 栃木県 |
研究概要 |
本年度をもって日鉄羽鶴鉱業所より東側の重要地域について精密広域地質調査はほぼ完了した。また、三峰地域の大規模露天切羽展開区域の精密地質調査も一応の成果を挙げた。これらは次のようにまとめられる。 1)出流川を境とした南東部地区の四つの逆断層は北東部に連続するが、合沢累層・出流累層を境する“葛生逆断層"(主逆断層)に次第に収斂する。そして、この西側では出流累層・鍋山累層・アドヤマ累層の順に重なるノルマル・サクセッションとなる。従来鍋山累層下部石灰岩層に対比され葛生地域の最も東側で南北にのびた帯状分布を示す石灰岩層は岩相・生物相からみて上部石灰岩層に属するとのわれわれの新たな見解はその後の研究により、さらにより強固なものとなった。 2)葛生地域の大地質構造を規制する断層は、その北方延長は出流右岸の岡田石灰鍋山鉱山まで追跡できるが、出流川の北側で次第に落差を減じ消滅するものと考えられる。そして、三峰断層はこの北方延長でなく、これとほぼ平行に走る別個の正断層と考えられる。 3)三峰地区の精密地質調査の結果、葛生地域の鍋山累層の馬蹄形状分布を規制しSW側にプランヂする向斜構造は、実は複向斜であることが判った。そして、三峰断層はこの向斜構造(複)の小背斜部に発生した正断層と考えるのが妥当である。 4)出流川下流の右岸にある田源鉱山の上部石灰岩層を貫く玄武岩岩脈に沿って、白色化が進み、これを検討したところ含ブル-ス石・蛇紋岩石灰岩であって、これは既存の正断層ドロマイト質石灰岩の熱水変質作用による産物と考えられる。 5)最近の研究により、鍋山累層を貫く岩脈には、鉱物組成・組織を異にする“輝緑岩"と“玄武岩"との2種類が区別された。後者は鍋山累層上部の塩基性火山活動に関連したと考えられる。
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