従来の形状に基づく粒子の分離は、転がりの差や粒子と板面との摩擦力の差を利用しているため、雰囲気の湿度による付着力、凝集力および静電気力などの影響を受け、分離下限粒子径がおおよそ500μmといわれていた。本研究では0.1mm厚のステンレス板に孔径約100μmの孔をエッチング法により無数に開け、さらに無電解ニッケルメッキで孔径を約90μmまで縮めた。このステンレス製のスクリーンを円筒状にして分離機本体とした。用いた試料は球であるガラスビーズと不規則形状である粉砕ガラス粒子をそれぞれフルイで整粒し、平均粒径を100μm程度とした。(現在のエッチング法では最小孔加工技術は100μm程度であり、さらにメッキを施しても70μm程度が最小限度であるため、他の加工法を検討中である。また金属粒子も準備中である。)ガラス粒子の場合の分離結果は、球形粒子と不規則形状粒子の混合比によっても異なるが、分離後の産物粒子中の球形粒子の含有率は、原料中のそれよりも1回分離操作で10%から30%以上の上昇がみられた。ニュートン効率では20%〜40%の値が得られた。本実験装置このまま用いても2〜3回の繰り返し操作により80%〜90%の球形粒子含有率の産物を得ることが可能である。 結論 1.まだまだ改善の余地があるものの、従来の方法では分離不可能であった100μm程度の球形粒子と不規則形状粒子の混合物から球形粒子を多く含む産物を得ることが可能であることが確認された。 2.孔径の小さい円孔を無数に開ける技術はコストの面を考えるとエッチング法以外に今のところ考えられない。さらに特殊なメッキを施しても仕上りの精度を考えると70〜80μmが下限であろう。従って本法による分離下限粒子径は70〜80μmより少し大の粒子である。 3.金属粉の分離はガラス粒子の場合より精度的によくなると考える。
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