研究課題/領域番号 |
63550471
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
市村 稔 茨城大学, 工学部, 助教授 (20007636)
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研究分担者 |
篠嶋 妥 茨城大学, 工学部, 助手 (80187137)
今林 守 茨城大学, 工学部, 教授 (10007601)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 準結晶 / 水素拡散係数 / 水素溶解度 / 真空中固相抽出法 / モンテカルロ法 / フィボナッチ列 / ペンロ-ズパタン / トレ-サ-原子 |
研究概要 |
AlーCuーFe系準結晶を真空中高周波溶解炉にて溶解ー炉冷することにより作製し、真空中固相抽出法により準結晶における水素拡散係数と水素溶解度を求めた。同時に、モンテカルロ法によって1次元フィボナッチ例、2次元ペンロ-ズパタンにおけるトレ-サ-原子の拡散係数を理論的に求め、その特異な構造に起因する拡散原子の振舞いについて考察した。 AlーCuーFe準結晶における水素の拡散挙動に関して次の結論を得た。 (1)Al_<65>Cu_<20>Fe_<15>準結晶合金は真空溶解によりはむしろ不活性ガス雰囲気中で溶解作製する方が欠陥の少ない鋳塊を得ることができる。 (2)300ー600℃において本合金系の拡散係数は、純アルミニウム、純銅、純鉄に比べより低い値をとる。 (3)試料中の準結晶相の割合が多いほど水素の拡散係数は低下する。 (4)600℃の水素溶解度は準結晶様が多いほど大きくなる。フィボナッチ列の拡散挙動については次の事が言える。 (1)一次元準結晶モデルのトレ-サ-拡散係数の、温度低下に伴う低下は、二次系全率固溶体よりも一次元準結晶の方が顕著である。 (2)二次系全率固溶体及び一次元準結晶モデルの二つのポテンシャル値の比を大きくするにつれ、どちらかのトレ-サ-拡散係数も低下する。この場合も、拡散性の低下は一次元準結晶モデルの方が著しい。 二次元ペンロ-ズパタンに関する拡散挙動については次の結論を得た。 (1)トレ-サ-原子が一個の場合、二次元ペンロ-ズ格子のトレ-サ-拡散係数は0.9をとり、六角形格子モデルに比べ低下した。 (2)トレ-サ-粒子の濃度依性は、六角形格子モデルも二次元ペンロ-ズ格子も同じ傾向を示した。なお、原子間相互作用の影響は、二次元ペンロ-ズ格子より六角形格子モデルの方に顕著に現われた。
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