自製したぬれ測定装置および研究分担者の発明である加熱冷却二系統回転法により作製した金属微粉末を用いて、セラミックスと金属材料との複合化や接合の基礎過程であるぬれ性を調べた。本研究では従来殆ど研究報告のなされていないミクロンおよびサブミクロンサイズの粒子径を有する金属粉末のぬれ性ならびにぬれ性の優れた接合用金属微粉末の開発を目指したものである。 昭和63年度および平成元年度において実験装置の大幅な改修を行い、測定時における高真空度の維持、接触角の解像度の向上、加熱炉の温度制御の改善並びに実験能率の向上を測ることができた。 ぬれ測定は、Si_3N_4ーAl、Si_3N_4ーCu、SiCーAl、ZrO_2ーAl、ZrO_2ーCu、Al_2O_3ーAl、Al_2O_3ーCuおよびSi_3N_4ー(AlーSi合金)の各ぬれ系で行った。Si_3N_4ーAl、ZrO_2ーAl系では種々の粒子径(約10〜700μm)の金属粉末を用いてぬれの粒子径依存性について、またSi_3N_4ー(AlーSi合金)系では接合用金属微粉末の開発とぬれ挙動に関する考察を深めるために測定を行った。実験結果は次のようにまとめられた。 1)総てのぬれ系についてぬれの時間依存性、温度依存性や接解界面の組織観察を行った。Si_3N_4ーCu、ZrO_2ーCuおよびAl_2O_3ーCu系を除いた総ての系でぬれの時間依存性や温度依存性が認められた。Al_2O_3ーCuとAl_2O_3ーAl系では接触界面で反応層が形成されることが明らかになった。金属粉末の粒子径が小さくなるほどぬれ性が良くなることが明らかにされた。 2)ぬれの時間依存性や温度依存性は粒子径依存性は接触界面における反応や成分元素の拡散とは直接的に関連しないことが示された。 3)本研究から接合用金属粉末として微粉末金属の使用が推奨される。 4)サブミクロンサイズのぬれ挙動についてはなお研究・検討中である。
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