研究概要 |
インジウム,タリウム,テルルなどの典型金属はほとんどの鉱石に含まれ,非鉄量産金属製錬における微量共存元素として関心が持たれる。また,溶融インジウム系,タリウム系合金の活量などの熱力学的性質について知見を得ることは,非鉄金属製錬および電子材料製造の基礎として重要である。本年度は昭和63年度のSbーTl,BiーTl系,平成元年度のBiーIn,CuーIn系合金の活量測定に引き続き,起電力法により溶融TeーIn,TeーTl系合金の活量測定を実施し,次のような結果を得た。 (1)TeーIn系について,固体電解質を用した電池を構成し起電力測定を行なった。1000Kおよび1050Kにおける液体標準のインジウムおよびテルルの活量は,広い組成にわたりラウ-ル則から著しく負に偏倚した。またインジウムの活量はインジウム側で負偏倚から正偏倚への急激な変化を示し,高インジウム組成側で正に偏倚した。両成分の活量は温度上昇とともにラウ-ル則に近づいた。本研究の活量測定結果は本合金融体における最近の研究による比熱,等温磁化率,電気伝導度および粘性などの測定値による化合物形成融体の温度変化の検討結果とおおよそ対応しているとしてよい。 (2)TeーTl系について,溶融塩電解質を用いた電池を構成し起電力測定を行なった。900Kおよび950Kにおける液体標準のタリウムとテルルの活量は,広い組成にわたりラウ-ル則から著しく負に偏倚した。タリウムの活量は化合物形成融体TeTl_2の組成付近で負偏倚から正偏倚への急激な変化を示し,高タリウム側では正に偏倚した。両成分の活量は温度上昇とともにラウ-ル則に近づいた。
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