前年度に確立した分極曲線、複素インピ-ダンスの自動測定シテスムを用い、Pt電極/固体電解質の電極性を詳しく調べるため、種々の実験条件下で幡密測定を行なった。この際、これまで実験条件が測定法の制約を受けるため、分極曲線、複素インピ-ダンスを同一条件下で測定して電極特性を評価することが困難であったが、本研究ではいずれの場合にも同一の作用極、対極、参照極から構成された電極系を用いることができるように工夫して実験を行ない、その結果を比較検討した。 ZrO_2-8mol%Y_2O_3/Pt電極系の973Kにおける特性は下記のとおりであった。分極曲線法、複素インピ-ダンス法によって得られた電極抵抗は互いによく一致し、その値は酸素分圧により顕著に変化した。電極抵抗は酸素分圧の増加とともに低下したが、0.1atmを境にそれ以上では増加した。分極曲線の解析から、0.1atm以下の低酸素分圧域においては酸素分子の解離吸着によるカソ-ド限界電流、高酸素分圧域においては酸素原子の拡散、会合によるアノ-ド限界電流の影響が大きくなるが、電極抵抗は主として電荷移動抵抗であることを明らかにした。より詳しく解析すれば、0.1atm以下では酸素分子の解離吸着に引きつづく(O+e^-→O^m)の反応が律速となり、また0.1atm以上では(O^<2->→O+2l^-)の反応が律速で引きつづいて酸素原子の拡散、会合が起こることが明らかとなった。また、バイアス電圧を印加して複素インピ-ダンスを測定すれば、あたかも酸素を変化させたかのごとくに電極抵抗は低下した。 これらのことから、分極曲線法、複素インピ-ダンス法を併用すれば電極の反応機構を詳しく解析できることが明らかとなった。前年度に得られた結果を加味すれば、電極特性は電極材料のみならず、電極の物理的、化学的状態により著るしく影響されるため、今後は電極の状態を制御することにより電極特性を改善する実験計画を企画している。
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