1.データ処理システムの構築 本年度の補助金で購入した16ビットのパーソナルコンピューターに、12ビットのA/D変換器を接続し、19.8μs毎のA/D変換が可能なシステムを構築した。更に、下記測定項目を計算するプログラムも構築した。また、プローブ径を0.5mmφとし、測定精度を向上させた。 2.水浴中の実験 内径15cm、深さ20cmの水浴に、底部ノズルより窒素ガスを吹き込み、浴中に分散する気泡を電気探針により検知した。そのデータを上記システムにより処理し、以下の結果を得た。気泡頻度の半径方向分布は2次元ガウス分布にのり、その標準偏差の2倍で、気泡分散相を定義した。この分散相の拡がりは、吹き込みガス流量により変化しなかった。気泡上昇速度の半径方向分布を求めた。気泡弦長さ分布を求めたが、その平均値は半径方向で一定であった。これより、ガスホールドアップの分布も2次元ガウス分布にのることを示した。 3.溶銅浴中の実験 幾何学的形状を水浴と合せ、更に、修正フルード数が従来の溶鉄浴実験と合うように、ガス流量を設定し、上記と同様の測定を行なった。測定結果は、ほゞ上記と同様であったが、気泡分散相の拡がりは、ガス流量の増加と共に、減小した。水浴、溶鉄浴のデータと比較すると、気泡分散相の拡がりと気泡上昇速度は、溶鉄浴のデータとほゞ一致したが、水浴のデータとは、気泡の熱膨張を考慮しても、一致しなかった。したがって、高温の溶融金属浴中の気泡分散挙動を水浴を用いた実験では、シミュレートできないことがわかった。また、ガスホールドアップと気泡上昇速度の積の断面積分と吹き込みガス流量の比較から、気泡の熱膨張は、底から100mmまでは、完了していないことがわかった。
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