1.500℃から1100℃までの100℃きざみの各温度で各種濃度のCOーCO_2ーN_2混合ガスを用いて、約5gの実機焼結鉱単一粒子を段階ごとに等温還元し、還元曲線を求めた。つぎに同様の実験条件において、種々の還元率で反応を停止し、試料を窒素気液中で速やかに令却し、埋め込み研摩後、断面の顕微鏡観察、EPMA分析あるいは粉末にしてX線回折を行った。ここでX線回折による定量分析のため、あらかじめ未還元試料について、EPMA分析によりヘマタイト、マグネタイト、カルシウムフェライト(CF)、スラグ相の割合を評価し、つぎにX線内部標準法により積分強度比を求めて、各相の重量比率と積分強度比の関係を求めた。700℃以下ではFe_2O_3からFe_3O_4への還元段階でCFは還元されなかった。 2.そこでつぎに、500℃から800℃までの温度範囲で、約0.5gの粒子10個一組で5gとした試料を、ガス比率CO/(CO+CO_2)=0.2一定のもとでCOーCO_2-N_2混合ガスによる等温還元し、Fe_2O_3からFe_3O_4への還元段階の到達還元率F_fを求めた。引き続きガス比率一定のままで、もとの設定温度から900℃まで昇温し、反応が終るまで十分還元して最終還元率F_f′を求めた。このようにして求めた各設定温度におけるF_f値と900℃におけるF_f′値から、CFが還元されはじめるのは730℃からであり、CFが還元されない場合の被還元酸素量は、還元される場合の約70%となることが判明した。 3.上記1項で述べた単一粒子の実験データについて、2項の結果を考慮して被還元酸素量を修正し、一界面未反応核モデルによる解析を行った。得られた化学反応速度定数と有効拡散係数の温度依存式を作成し、これを用いて計算した還元曲線は、ばらつきの大きい実測還元曲線をほぼよく表していることを示した。
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