本年度はレーザー表面改質過程の解析に必要な物性値の測定および有限要素法解析を行った。具体的には、次の2つの研究を行った。 1.各種鋳造用アルミニウム合金のCO_2レーザー光吸収率測定。 ここでは、各種鋳造用アルミニウム合金のCO_2レーザー光吸収率を、試料表面のレーザー反射強度を測定することにより吸収率を求める方法およびレーザー照射中の試料温度上昇測定から入熱量評価し吸収率を換算する方法から決定した。2つの方法で求めた試料のCO_2レーザー光吸収率は試料表面粗さが小さい場合には良く一致した。こうして求めた吸収率は試料表面粗さと合金元素添加量に大きく依存し、それぞれの増加につれCO_2レーザー光吸収率も増加することが示された。 2.Fe-3%C-2%Si合金表面の急速溶解凝固。 ここでは、CO_2レーザーによりFe-3%C-2%Si合金表面を急速溶解凝固させ、その組織観察と有限要素法解析によりレーザーを表面改質技術の特徴を検討した。まず試料表面にレーザーをスポット照射し、溶融部深さ、溶融部巾と照射時間の関係を求めた。この結果とCO_2レーザー光吸収率をパラメータとした有限要素法解析結果を比較し、試料のレーザー光吸収率を50%と推定した。次に求めた吸収率を用いた解析と組織観察により急速凝固部のデンドライト2次アーム間隔と平均冷却速度の関係を明らかにした。さらにこの関係よりレーザー走査による試料表面の急速凝固条件を検討した。 次年度は使用レーザーをYAGレーザーとした合金の表面改質、特に表面の非晶質化を試みる予定である。
|