本年度の研究成果は次の二項目である。(1)粉末充填金属管の線材加工におよぼす加工法の影響、(2)金属-金属複合管の塑性不安定に関するエネルギ-法を用いた解析方法の開発。以下各項目別に結果を述べる。 (1)粉末充填管の線材加工について:粉体の塑性的性質を調べるため金属管にアルミナ粉を装入し、粉体部を圧縮してその塑性的挙動を調べた。その結果、σ_1-σ_2=p(ここでσ_1とσ_2はそれぞれ最大および最小主応力pは静水圧成分)なる関係がほぼ成立することが明らかになった。この関係から半径方向圧縮力によって加工される粉末充填管の場合、粉体部の軸方向応力は圧縮になることが示され、健全な加工が行いうると予測される。 アルミナ(<1.3μm)粉を銀管に封入して静水圧押し出し、スウェ-ジング加工およびロ-ラ-ダイス引き抜き加工を行った。前二者では直径8mmから1mmまで健全加工可能であったが後者では外套管の割れが生じることがあった。ロ-ラ-ダイス加工における欠陥発生の原因は、銀管の断面形状が連続するダイスにおいて長軸と短軸が逆転した楕円形となることによるものであると思われる。 (2)金属-金属複合管の変形解析:最小エネルギ-を与える内外層の歪分布を変分法を用いて決定することによって微小押出しの際の芯材の形状変化を計算し、これを繰り返すことによって押し出された材料の形状を予測した。シミュレ-ションの結果は前年度におこなった金属管の実験事実とよい一致を示した。現在、柔らかくて薄い外套材をもつ材料の場合のダイス前方での座屈の発生および出口ダイランド部での変形による軟相破断のシミュレ-ションを行いつつある。
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