窒化珪素セラミックスと金属をTi系のろう材で接合する場合、セラミックスとの反応によるTiNを主とする反応層の形成ならびにろう材の組成と組織が接合体の機械的性質を支配する。 本研究では、TiとCuの箔をセラミックスとNi間に挟み、Cuの融点以上に短時間加熱することによって接合することを試みた。なお、Niの表面はCuと融解し、フイラとなるが残りはWと共に応力緩衝材として働く。 TiNとSiを形成する反応は、温度が高いほど、Ti量が多いほど、又、接合時間が長いほど進行する。そのため、強度は低下し、破断は界面割れとなる。Ti量を多くすると、接合温度を下げることができるが、Ti成分がTi-Ni金属間化合物として残存するため、接合層を脆くする危険性がある。 これらの結果から、本研究ではTi箔1.5μm、Cu箔20μmとし、接合時間は1200℃1分とした。ここで、高温に短時間加熱すると、反応を抑制しながら接合性を向上するのに有益である。又、Ti量の低減は、最近セラミックスの燃結助剤が減少する傾向にあるので特に重要である。 本研究で作製した接合体は、接合時にTiとCuがセラミックス側に濃化している。しかし、CuとNiは全率固溶体を形成し、さらに少量のTiも固溶できるので、セラミックスとろう材の反応が余り進行しない温度(1000℃)で拡散処理を行った。その結果、フイラー部のNi濃度は増大し、かつ破断強度が向上した。 来年度は接合体の高温強度の測定と耐酸化性の検討を行う。
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