研究概要 |
ジルコニア燃料電池用電極材料としての電気電導性酸化物の応用のための材料設計を行う目的でLa系ペロブスカイトの性質とそのジルコニアとの接合を行った。電気伝導性が高いとされるLaCoO_3とLa(Co_<1-x>Ni_x)O_3とについて調べた結果、反応相がジルコニアとの接合界面に生成し、その幅がジルコニアとLa化合物との熱膨張係数の差によって決定されていることが明らかとなった。すなわち熱膨張係数差が小さいほど反応相の幅が小さい。そこで今回はLa化合物でも熱膨張係数がジルコニアにほぼ等しいと言われているLaMnO_3について調べることとした。しかしLaMnO_3は室温付近ではジルコニアのそれに近いものの970K付近ではジルコニアの2倍になることがわかった。そのため熱膨張係数を室温から1200Kまでジルコニアに等しいLa化合物を設計するためLa(Mn_<1-x>Nix)O_3を選んでその性質を調べた。その結果次のことがわかった。 (1)この系は規則構造をもつ面心立方晶でa=7.798Åであることがわかった。 (2)x=0.2で熱膨張係数は室温から1173Kまでジルコニアにほぼ等しい値を得ることができた。 (3)この祖成の1173Kでの比抵抗は0.02Ω・cmと低い値を示した。 (4)x=0.2についてジルコニアと1573K,48h,2Mpaの荷重下接合を行ったところ界面にクラックやポアのない良好な接合体が得られた。 (5)接合界面を達過電顕で観察した結果、通常の分解能を持つ電顕では反応相は認められなかった。 以上のことはLa(Mn_<1-x>Nix)O_3のx=0.2の化合物がジルコニア燃料電池用電極として最適であると結論できる。
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