Ti-50mol%Al、Ti-51.5mol%Al、Ti-53.4mol%Alの三種の異なる組成を有する単相多結晶体に対して1000K〜1200Kの温度、100〜398MPaの応力の下で定応力圧縮クリ-プ試験を行ない、クリ-プ特性に及ぼす温度、応力、粒径、組成等の影響を調べ、以下のような新しい知見を得た。 1.Ti-50mol%Al単相等軸晶多結晶体のクリ-プ曲線は、瞬間塑性歪の部分、通常型一次クリ-プの部分、最小クリ-プ速度を生じる部分、クリ-プ速度が加速する部分の4領域から成り、これが変形条件により変化することはなかった。一方、アルミニウム濃度が高い組成ではクリ-プ曲線が応力により大きく変化し、高応力側では通常型一次遷移を生じた後、また、低応力側では明瞭な最小クリ-プ速度と顕著な加速を生じた後、はぼ定常的なクリ-プ速度を示した。 2.3種の組成について粒径を約30〜40μmにそろえた試料で最小クリ-プ速度を比較した結果、最小クリ-プ速度はTi-50mol%Alの試料の方が小さく、アルミニウム濃度が高くなるにつれて大きくなるような組成依存性を示した。最小クリ-プ速度がある一定の値となる応力によってクリ-プに耐える強度を評価すると、Ti-50mol%Alの方がTi-53.4mol%Alに比べ2〜3割程度強いことが示唆された。 3.3種の組成について、それぞれ、粒径を変化させた単相多結晶体を作成し、最小クリ-プ速度の粒径依存性とそれに及ぼす組成の影響を調べた。Ti-50mol%Alでは、最小クリ-プ速度は粒径の1〜3乗に反比例するような粒径依存性を示し、一方、Ti-53.4mol%Alでは、最小クリ-プ速度は粒径に依存しなかった。また、Ti-51.5mol%Alの場合、高応力側では最小クリ-プ速度は粒径に依存せず、低応力側では、粒径が大きくなるほど最小クリ-プ速度が小さくなるという中間的な振舞いが観察された。
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