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1989 年度 実績報告書

Ni基超合金の高温変形抵抗に及ぼす粒界γ'相の効果

研究課題

研究課題/領域番号 63550532
研究機関東京工業大学

研究代表者

松尾 孝  東京工業大学, 工学部金属工学科, 助教授 (10089823)

キーワード超合金 / 高温強度 / クリ-プ / γ'相 / 粒界析出強化 / 材質劣化
研究概要

第2相が結晶粒界の大半を覆うように析出すると、析出相のない粒界面積比の減少に比例してクリ-プ速度が減少することが、Ni-20Cr-20W合金の1000℃のクリ-プにおいて実験的にすでに明らかにされ、新しい強化機構、すなわち粒界析出強化として提案された。Ni基鍛造合金はγ'相で大半の粒界を覆った初期組織として使用に供される。
そこで、本研究では、まず、γ'相による粒界析出強化の存在を検証した。つぎに、そのような合金の高温度使用による強度低下の原因として、従来考えられてきたγ'相の粒内析出分散強化量の低下だげではなく、γ'相による粒界析出強化量の低下も検討した。すなわち、γ'相の体積率が約30%であるNimonic 80Aについて、γ'相の粒内析出密度が低く、粒界析出が優先して生じ、かつ、γ'相の粒界被覆率ρが高くなる1000℃で最長3000hまでの時効を予め施し、ρの値が異なる数種の時効材の高温クリ-プ抵抗を1,000℃、5Kgf/mm^2の一定応力クリ-プ試験により調べた。その結果、Ni-20Cr-20Wにおけるα_2相の粒界析出強化と同様、γ'相が析出していない粒界面積比の減少に比例して、クリ-プ速度は小さな値を示した。このことから、高温クリ-プにおいてγ'相による粒界析出強化が働くものと結論した。さらに、γ'相の粒内析出が生じる950℃において2Kgf/mm^2きクリ-プ試験を行い、加速クリ-プ域にあたる100〜1,000hにおいてクリ-プ試験を停止した試験材について、950℃、7Kgf/mm^2のクリ-プ試験を再度行ない、クリ-プ抵抗を調べた。また、組織観察によりγ'相の析出密度及び粒界におけるρの値を調べ、クリ-プ抵抗との関係を検討した。その結果、加速クリ-プ域におけるクリ-プ速度の増加はγ'相の粒内析出分散強化量の低下のみでは説明されず、これと同等のγ'相による粒界析出強化量の低下を加えることによってほぼ説明できることを明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] アブデルモネム・エルバタハギ,松尾孝,菊地實: "Ni基超合金の高温クリ-プにおけるγ'相による粒界析出強化" 鉄と鋼. 76. (1990)

  • [文献書誌] アブデルモネム・エルバタハギ,松尾孝,菊地實: "Nimonie80Aにおけるγ'相の粒界析出強化" 学振123委研究報告. 30. 41-49 (1989)

  • [文献書誌] 石井龍一,アブテルモネム・エルバタハギ,寺田芳弘,松尾孝,菊地實: "Inconel617における炭化物による粒界析出強化" 学振123委研究報告. 30. 159-168 (1989)

  • [文献書誌] アブデルモネム・エルバタハギ,松尾孝,菊地實: "Nimonic80Aの高温クリ-プ変形に伴う材質劣化" 学振123委研究報告. 30. 293-306 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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