Ni基超合金の一つであるIN100の粉末をHIPにより固化成形した材料を用いて、asHIPの状態で1050〜1100℃の温度域において圧縮試験を行い、超塑性変形特性と変形中に生じる組織変化について研究した。その結果、次のことが明らかになった。 HIPにより固化成形したIN100材は押出し、焼なまし等の処理を行わなくても、asHIPの状態で超塑性変形が可能であり、歪速度感受性指数mも1075℃において10^<-3>S^<-1>の歪速度域で最大値0.6を示す。また超塑性変形を示す歪速度域も温度上昇とともに広くなり、1100°では10^<-4>〜10^<-2>S^<-1>の歪速度範囲でm>0.4となる。また同時に温度上昇により変形応力は著しく低下し、良好な超塑性加工が期待できる。 超塑性変形中に生じる組織変化をSEMにより観察した結果、高歪速度域において動的再結晶により結晶粒が微細化し、平均2μmになるとともに、asHIP状態において結晶粒径の不揃いや粒界での不純物(主として酸化物)が均一に分散する。またこのような変形中の動的再結晶により、変形時の応力ーひずみ曲線も加工軟化を示す。低歪速度域では結晶粒は変形中に粒成長により粗大化し、最大平均粒径は5μm程度になる。また粒成長にともない、変形応力は増加し、応力ーひずみ曲線は加工硬化型になる。超塑性変形において歪速度の粒径依存性を測定した結果、粒径の2乗に逆比例することが明らかとなった。 IN100合金の超塑性変形機構については変形の活性化エネルギーが350kJ/molとなり、格子拡散の活性化エネルギーに近い値であることより、格子拡散で支配される粒界すべりによる機構が考えられる。
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