研究課題/領域番号 |
63550537
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 起國 京都大学, 原子エネルギー研究所, 助教授 (70027142)
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研究分担者 |
上田 静政 京都大学, 原子エネルギー研究所, 教務職員 (00093196)
冨井 洋一 京都大学, 工学部, 助手 (90026245)
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キーワード | 二相混合 / パーコレイション / クラスター / ニオブ / アルミナ / 焼結体 / 組織像の画像処理 / 電気伝導度の臨界挙動 |
研究概要 |
本研究は、混合体における構成相のクラスターの急激な巨大化即ちパーコレイション現象とこの現象が異なる相同士の複合的性質として現われる材料物性に与える影響を解明することを目的としており、その研究の一環として行って来た本年度の研究の項目と得られた知見は次の通りである。 (1)NbとAl_2O_3の混合体として、Nbの体積分率(f)が1から0.12に互る12個の試料をホットプレス法による焼結法により作製し、これらについて電気伝導度の測定とクラスターの統計的計測を行った。(2)電気伝導度はf=0.15〜0.16の所で急激に上昇し、絶縁体から金属への転移、即ちパーコレイション現象の発生が認められた。転移後はfの増大と共に指数関数的に増大し、その指数は約2であった。(3)Nb相のクラスターの顕微鏡像を画像処理して、そのサイズや形状について統計分布をコンピュータを援用して計測した。Nbの体積分率fが増大して、パーコレイション転移を越えると、それらの分布は急に広域化し、スペクトルが連続的なものから離散的なものへと変わる。この離散的なスペクトルはクラスター同士の連結によるクラスター成長を示唆している。(4)一方の相が他方を取り囲む形の複合細胞を考え、この細胞を構造の基本要素として混合体を再構成するモデルに有効媒質理論を適用した所、パーコレイション転移に伴う電気伝導度の挙動をかなり良く説明することが出来た。(5)Nbのクラスターが孤立分散しているパーコレイション転移前の絶縁体領域(f<0.15)でのクラスターの挙動を調べるために、電気伝導度の代りに誘電率(又はキャパシタンス)の測定をLCRメータを用いて行っているが、測定の精度と再現性を良くするために、測定システムの改良を現在行っている所である。次年度はこの実験を主として行う予定である。
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