研究概要 |
研究目的:低密度、高剛性を示すAlーLi二元合金に結晶粒微細化効果が大きく、密度も比較的小さいチタンを添加したAlーLiーTi合金を作製し、まず高温時効によって地質との整合ひずみの大きいと思われるAl_3(Ti,Li)粒子を析出させた後、低温時効によりその外殻にδ′ーAl_3Li相を析出させた複合析出粒子を分散させる。低温時効中に単独に多量に析出するδ′粒子は強化をもたらし、複合析出粒子の分散はδ′粒子に起因する顕著な平面すべりを緩和して靱延性を向上させる。また、複合析出粒子をより多く、より均一に分散させるために、メカニカルアロイング法による固溶チタン量の拡大を計る。 研究成果:チタンを0.3、0.5および0.9%含む3種類のAlー2%LiーTi合金をアルゴンガス雰囲気中、LiClをフラックスとして溶製した。熱間圧延した板状試験片に高温(350ー500℃)、低温(180℃)およびこれらの二段時効を施し、TEM観察、EDX、SIMIS測定、引張試験等を行った。AlーLiーTi三元合金の高温時効では球状の整合析出粒子が析出した。この粒子の成長に伴う界面転位の間隔から求めた整合ひずみの値はδ,粒子のそれの約10倍も大きいことが分った。またこの粒子の電子回折図形中の規則格子反射の強度から、粒子中のTiおよびLiの組成はAl_3(Ti_<0.55>、Li_<0.45>)であると推定できた。SIMISやSTEMーEDXを試みたが精度のよい定量分析は困難であった。複合析出物のみを抽出し分析出することを試みている。500℃ー3時間の高温時効と180℃ー140時間の低温時効を組合せて施し、複合析出粒子を分散させた試料の延性は同一強度レベルのAlーLi二元合金の延性より良くなっていることを確認した。現在、購入したアトライターを用いたメカニカルアロイング法により、AlーLi合金中への固溶チタン量を拡大させ得る最適条件を調べている。
|