研究課題/領域番号 |
63550541
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中山 豊 大阪府立大学, 工学部, 教授 (90081364)
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研究分担者 |
津田 大 大阪府立大学, 工学部, 教務技師
森井 賢二 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (10101198)
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キーワード | 磁気光学材料 / イオンビームスパッタリング / 固相反応 / Cー軸配向性 / Mn系磁性薄膜 |
研究概要 |
本研究の目的は金属系超格子積層膜における固体反応を調べ、その磁気光学材料への応用を検討することである。本年度の研究計画では、まず超格子積層膜を作製するための最適成膜条件を明らかにするとともに、二三の予備実験により本方法に適合する金属種を選定することに重点がおかれる。これらの点に関し、以下に本年度の研究結果を示す。 1.イオンビームスパッタリング装置に関して バリアブルリークバルブの使用等により、成膜時の真空度、イオン源の特性が改善され、現段階で例えばAlをターゲットとして、1×10^<-3>Paの真空下で、Ar^+のイオン電流密度約200μA/cm^2が得られ、この時の成膜速度として約0.6nm/minが達成された。なお、Mn、Bi、Feなどについてもおおむね同様の値である。したがって、本研究の対象とする10nm程度の積層周期を持つ薄膜を本装置により作製することが可能となった。例えばMnーBi系合金を半円状に配置した複合ターゲットを用いて、ガラス基板上に積層周期ほぼ5nm、全厚約100nmのMn/Bi薄膜を得た。これらに関し、透過電顕、X線回折により結晶構造等の検討を進めている。 2.Mn系磁性薄膜に関する予備実験 磁気光学特性を利用するためには、薄膜材料の磁気的特性のみならず、結晶の配向性を考慮する必要があり、特にCー軸配向を得ることが重要である。この観点より、Mn系磁性化合物を検討し、MnーGa系におけるMn_2Ga_5相に着目した。この相は、例えばMnBi相の軸比c/a=1.3と比較して、極めて小さな軸比c/a=0.3を有するので、結晶成長により容易にCー軸配向を示すことが期待できる。予備実験では、真空蒸着によりMn_<30>Ga_<70>薄膜を作製し、それらの固相反応を透過電顕およびX線回折により調べた。その結果、焼鈍条件を適当に設定すればCー軸配向をもつMn_2Ga_5よりなる薄膜が得られることが明らかとなった。
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