SUS304L型オ-ステナイト系ステンレス鋼およびSUS329I1型二相ステンレス鋼をレ-ザ-ビ-ムおよび電子ビ-ム溶接し、溶接部を組織学的観点から検討し、以下の結果を得た。 1.SUS304L鋼の場合、溶接金属中にはレ-ス状およびバミキュラ-状フェライトが混在している。フェライト量は、溶接金属上部表面直下で最多であり底部になる程減少する傾向を示す。また、レ-ザ-および電子ビ-ム溶接いずれの場合のフェライト量も、GTA溶接の場合に比べて少なく、フェライト量と溶接金属の冷却速度の関係が明らかにされた。この材料を923〜1073Kの各温度に恒温保持し、高温変態挙動を観察すると、維持時間の増加に伴いフェライト量は減少し脆化相のσ相が主にバミキュラ-状フェライトから析出する。σ相析出開始線を時間-温度-析出(TTP)図上に示すと、C型曲線となり、ノ-ズの温度は約1000K、保持時間は約150Ksである。 2.SUS329J1鋼の場合、フェライト粒界にオ-ステナイトが析出し、フェライト粒内にCr窒化物が多数析出した組織を呈する傾向を示すが、組織は冷却速度により異なり、冷却速度が速い場合にはCr窒化物の少ないフルフェライト組織も観察される。この材料を恒温保持すると、フェライト量は減少し、フェライト/オ-ステナイト界面からフェライト相中に向かってσ相が析出する。σ相の析出開始線をTTP図で示すと、C型曲線となり、ノ-ズ温度は約1000K、保持時間は約15Ksである。
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