非酸化物系セラミックスはのとくに高温強度が高く耐熱構造材料として期待されているが、実用部材の作成に際しては金属との接合による複合化が望まれている。この接合法としては、Ti等の活性金属を含むろう材による接合が一般的となりつつあるが、本研究では活性金属を用いずSiCあるいはSi粉末とFe-Ni合金の固体反応を利用して窒化硅素とFe-Ni系耐熱合金とを直接的に接合させ、可能なかぎり金属及びセラミックスの母材成分のみからなる接合部を作成する方法を検討した。 以下に、本研究で得られた主な結果および結論を要約する。 1.Fe-Ni-Si混合粉末を用いたSi_3N_4とFe-Ni合金(42アロイ)の接合では、Si_3N_4表面が分解され良好な接合が行える。 2.予めアーク溶解炉により溶解して合金化した粉末を用いた場合には、混合粉末の場合よりも約70K低い温度で接合部に液相を生じるが、十分なSi_3N_4表面の分解は生じなくなる。一方、さらに接合温度を高くすると、金属母材と激しく反応し接合が困難となる。 3.Siの代りにSiC粉末を用いた混合粉末では、Si_3N_4に対するぬれ性が著しく改善される。 4.Fe-Ni-SiC混合粉末によりメタライズしたSi_3N_4表面のX線回折結果では、Ni_2Si、Ni_3Si、FeSiなどの生成が示唆された。また、標準自由エネルギー変化の計算では、FeSiの生成の可能性が示された。 5.四重極質量分析計による反応生成ガス分析では、Si_3N_4表面の分解に伴いN_2ガスの放出が検出された。 6.Si_3N_4表面の混合粉末によるメタライズ、あるいはSi_3N_4に42アロイの薄板を固体反応接合した後、それらに他の金属を、さらに低い温度でろう付あるいは拡散接合することが出来る。また、この方法は接合部における熱応力発生抑制に効果が有ることが示された。
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