研究課題/領域番号 |
63550551
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西尾 一政 九州工業大学, 工学部・物質工学科, 助教授 (50039145)
|
研究分担者 |
加藤 光昭 九州工業大学, 工学部・物質工学科, 教授 (90039107)
迎 静雄 九州工業大学, 学長 (20039027)
|
キーワード | 拡散接合 / 球状黒鉛鋳鉄 / 衝撃試験 / 靱性 / ねじり / 黒鉛粒数 / 黒鉛の析出 / インサ-ト金属 |
研究概要 |
前年度は球状黒鉛鋳鉄の拡散接合部の衝撃特性について検討した。本年度は球状黒鉛鋳鉄の接合部靱性に及ぼす黒鉛粒数の影響と接合部のねじり特性について検討した。得られた結果は次の通りである。 1.接合部靱性に及ぼす黒鉛粒数の影響 (1)直接接合材の接合部靱性は、黒鉛粒数が少ない場合には接合温度の上昇にともなって若干劣化する。しかし、黒鉛粒数が250個/mm^2以上になるときは、接合温度の上昇によってその接合部の吸収エネルギ-は次第に上昇した。 (2)これは黒鉛粒数が多くなるとフェライト化速度が速くなり、主に接合界面よりも球状黒鉛鋳鉄内部の球状黒鉛粒に炭素が集積し、接合部の靱性が改善されたものと考えられる。 (3)ニッケル箔をインサ-ト金属に用いて接合すると、接合部靱性は改善され、特に、50μm厚のニッケル箔を使用するときは母材と同等の吸収エネルギ-が得られた。これはいずれの黒鉛粒数においても認められた。 2.接合部のねじり特性 (1)直接接合材をフェライト化焼鈍したときの疲労寿命には、大きなバラツキが生じS-N曲線を描くことができなかった。これはフェライト化焼鈍を行なった際に接合境界に微小な黒鉛が析出し、これが疲労寿命を低下させると同時に寿命のバラツキの原因にもなったと考えられる。 (2)10μm厚のニッケル箔をインサ-ト金属に用いて接合すると、疲労寿命のバラツキは非常に小さくなり、母材強度が410及び560MPaのいずれの強度レベルの場合にもS-N曲線を求めることができた。 (3)10μm厚のニッケル箔をインサ-ト金属に用いた接合材のS-N曲線は、球状黒鉛鋳鉄の強度レベルによって大きな変化は認められなかった。また、疲労限度も強度レベルにあまり依存せず、160〜170MPaであった。
|