カーボンファイバーを用いた非可逆波の理論を予定通りに完成した。ピーク電位差から、容易に速度論的パラメータを算出できるようにした。この手法を本研究とは別件である燃料電池システムに応用してみたところ、カーボンファイバーの特性を容易に判定できることがわかった。この成果は通産省工業技術院電総研の協力を得た。カーボンファイバーを用いて過酸化水素の電気化学的検出が可能となる条件を見出した。しかしながら、この条件はグラッシーカーボン電極を用いたものと異なり、電極を電気化学的に強く酸化する必要があった。それ故、カーボンファイバー上での過酸化水素の反応機構は未だ不明である。電極上の吸着種が反応に関与すると思われるので、吸着種の電極反応についてのモデルをたてシミュレーションをしてみたところ、それ相応の結果は得られなかった。しかしながら反応の様子が詳細に分からなくても分析上では問題とならない。過酸化水素の酸化波は与えられた条件に鈍感であったため、分析上は大変好都合であった。過酸化水素の直接酸化だけではなく、古くから知られている接触還元についても平行して研究を進めている。なお購入した設備品はデータ処理装置として、現在活動中である。
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