1.大気粉じん粒子のキャラクタリゼ-ションのため、まず化学的状態を変えずに分離するとともに同定などに有用な情報も得るため、重液分離や磁気分離を行なった後、分離した微粒子を自作の微粒子測定用試料ホルダ-に取付け、X線マイクロディフラクトメ-タ-により回析図形を測定した。その結果、通常のX線回析分析から同定された物質の存在状態が明確にでき、同じ物質でも複数の存在状態があることが明らかになるとともに、従来できなかった超微量粒子の同定も可能になり、大気粉じんの発生源の解明などに極めて有用であることが分かった。中国渡口市の降下ばいじんの例では、強磁性の黒色粒子はマグネタイトの外、しばしばヘマタイトも含み、赤黒色塊状粒子はヘマタイトの外、しばしばマグネタイトも含むこと、主にガラス質でフライアッシュと考えられる球状粒子のうち黒色粒子はマグネタイトを含み、茶黒色粒子はヘマタイトを含むことが分かった。また、微量含まれた無色又は淡黄色半透明球状粒子はムライトを含むものと含まないガラス質のみのものがあった。ムライトは外に白色塊状のものが微量あり、方解石も白色半透明粒子と無色半透明粒子があり、さらに微量の金雲母(金色板状)も検出できた。 2.炭化ケイ素は研削材・耐火物・発熱体などに用いられてきた外、近年高温用構造材料や半導体材料としても注目されているが、ポリタイプがあり、熱的・光学的・機械的性質や禁止帯などがポリタイプ相に依存するといわれている。そこで、100μm程度の炭化ケイ素粒子についてX線マイクロディフラクトメ-タ-により調べた結果、同一量子内でも複数のポリタイプ相が存在することが分かり、その相分布図を作成できた。 3.IC回路の半田バンプ(約100μm)の特性の違いが何によるかを明らかにするため、X線マイクロディフラクトメ-カ-により、その組成と構造の違いを明らかにした。
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