1.微小領域のキャラクタリゼ-ションの方法を確立するため、異方性の大きい低膨張結晶を析出させた耐熱食器皿やガラスセラミックス板を用い、湾曲形位置敏感比例計数管と試料3軸揺動機構を備えたX線マイクロディフラクトメ-タ-により、含有結晶の配向や分布を研究した。その結果、耐熱食器皿の表面から200μm以上の内部ではどこでも、主成分のインド石と小量成分のエンスタタイトによる同様の回析図形が得られて均質であったが、表面付近の回析図形は場所により、また試料を回転するか静止させるかにより大きく変化した。表面に近いほどβ-石英固溶体のかなり粗い結晶が多く分布していることがわかり、これから耐熱衝撃性改善の指針が得られた。一方、ガラスセラミックスの微小部回析図形は試料回転の有無によらず、内部と表面でもほぼ同じで、微細な結晶が均一に分布しており、その優れた耐熱衝撃性が説明された。 2.超微量の微粒子試料のX線回析分析法を検討するため、まずそれに適した試料ホルダ-を自作した。これを用いて大気中粒子状物質の個々の微粒子を顕微鏡下で選んで取り付け、X線マイクロディフラクトメ-タ-により回析図形を測定した。その結果、同じ物質でもしばしば複数の存在状態があることが分かるとともに、従来できなかった0.03μg程度の超微量微粒子の同定も可能になり、大気中粒子状物質の発生源の解明などに極めて有用であることが分かった。中国渡口市の降下ばいじんでは、マブネタイトは黒色粒状及び破片状粒子として存在する外、赤黒色塊状粒子中に小量成分としてヘマタイトに伴って含まれたり、フライアッシュと思われる黒色球状粒子中にも含まれた。微量含まれた無色又は淡黄色半透明球状粒子はムライトを含むものと含まないガラス質のみのものがあった。ムライトは外に白色塊状のものが微量あり、方解石も2種あった。さらに超微量の金雲母も検出できた。
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