内径約0.1mm、長さ1mのステンレス管2本を用い、一方に溶媒、他方に試料溶液を流す。2本の細管の入口における動圧の差△△P_1および一方の細管の両端にかかる圧力損失△P_0をそれぞれ差圧トランスデューサーを用いて計測するシステムを設計した。試料として分子量既知のポリスチレン(PS)を用いて、テトラヒドロフラン(THF)に溶解して一定濃度の試料溶液とした。一定温度(30℃)のもとで、流量1ml/minの速度で溶媒および溶液を送液した。この結果△P_0は約4kg/cm^2、0.01%程度のPS溶液を流した場合の△△P_1は約0.1kg/cm^2であった。PS濃度に比例して△△P_1が変化することを確認した。 つぎにこのシステムの前にサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)用カラムを、後に示差屈折率検出計を取りつけ、分子量によって差圧がどのように変化するかを調べた。分子量97200のPSの0.10%溶液0.1mlをSECカラムに注入した。差圧を記録計によって記録することにより、最大差圧は0.017kg/cm^2であった。分子量288万のPSの0.025%濃度の溶液をカラムに注入した場合の最大差圧は0.031kg/cm^2であった。PSの分子量の増加とともに△△P_1の応答が大きくなることが認められた。 差圧を濃度で除した値(対数値)と分子量(対数値)の間には分子量が1万〜100万の範囲でほぼ直線の関係が得られた。このことから本システムはSEC用検出器として分子量の測定に利用できることが分った。 今後このシステムを実試料に適用して性能評価をすすめる予定である。
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