前年度において試作した示差圧検出システム(DD)を用い、いくつかの単分散ポリスチレン(PS)試料を用いて較正曲線を作成した。縦軸はDPの応答量を示差屈折計(RI)の応答量で除した値Ppと分子量Mの積の対数値(log(Rp×M))、横軸は保持容器である。通常の較正曲線と同様、良好な関係が得られた。これを用いて、いくつかの分子量分布の広いPS試料の手均分子量を計算した。その結果、重量平均分子量は基準値より大きく、数年均分子量は基準値より小さい値となった。この原因を調べたところ、DPの応答量に遅れがあることを認め、その補正法を確立した。この補正により、基準値と良い一致をみた。 この成果をもとに、ポリ塩化ビニルとポリエチレンメタクリレ-トなど各種メタクリレ-トポリマ-について平均分子量を測定し、基準値と比較した。ここで較正曲線はPSを基準としているが、RIの応答量はポリマ-の種類によって異なる。そこで各ポリマ-の応答量補正係数を求め、Rp値を補正する方法を採用した。測定によって得られた重量平均分子量は基準値とよく一致した。一方数年均分子量は基準値より大きな値となった。これは低分子領域におけるDp値の応答の低さに起因していると考えられ、これは今後の検討課題である。 本法を用い、スチレン-メチルメタクリレ-トおよび各種メタクリレ-ト、アクリレ-ト共重合体のサイズ排除クロマトグラフィ-による分子量測定および吸着クロマトグラフィ-による組成差分離の研究に適用し、分子量分布および組成分布の測定に応用した。
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