研究概要 |
1.キャピラリ-電気泳動と化学発光検出器との接続 ここ数年来,急速に浮上し注目されているキャピラリ-電気泳動(CZE)法は優れた分離能を示すが,最大の欠点は感度の悪いことである。そこでCZEと,高感度な化学発光検出器(CLD)の接続を考え,ヘミン標識ウシ血清アルブミンほかを調製し,それらをCZE法で分離,CLDで検出した。単一タンパク質成分であるにもかからわず複数ピ-クを与えた。この結果は,蛍光検出の結果と同じで,重要な結論であった。この結果に基づき,現在全く新しい方法を展開中である。 2.新しい化学発光反応系の開発とそれに基づく化学発光検出器の高感度化および簡素化 タンパク質を構成するアミノ酸のうち,トリプトファンが特に強い化学発光を示することを見い出した。触媒系は,銅(II)ーH_2O_2ー酒石酸塩系で,反応系の最適化を行った。反応開始後,最大発光強度に達する時間は約3.5時間であったが,適量の鉄(II)を加えることにより約5分に短縮できた。なお本系に適当に有機溶媒を加えることにより前記時間を1分以内に,また検出感度を約3000倍に向上できた。既にトリプトファンのFIA分析を確立し,また同様の系で5ーヒドロキシインド-ル酢酸(ガンマ-カ)の化学発光分析にも成功している。 3.1,10ーフェナントロリンーH_2O_2ーCu(II)化学発光における反応機構の検討 各種の方法を用いる詳細な検討を行ったが,中間体が不安定で反応機構を正確に決定するに至らなかった。 4.実試料への応用 実際の試料を分析するに至らなかった。
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