本年度はジルコン酸リチウムおよびチタン酸リチウムを電解質担体として使用し、電解質タイルに適した担体物質の合成条件および電解質タイルの作製プロセスについて検討した。 (1)電解質担体物質の合成 ジルコン酸リチウムの合成は、酸化ジルコニウムおよびリチウム塩として炭酸リチウム、または水酸化リチウムを使用した。この結果、ジルコン酸リチウムは、いずれの場合も700℃以上で生成したが、タイルの担体には結晶性の良い1000℃で、2時間で合成した。 一方、チタン酸リチウムの合成は、酸化チタニウムおよび炭酸リチウムまたは水酸化リチウムを使用し、900℃で、2時間で行った。 (2)電解質タイルの作製 電解質タイルは、電池の作動時に電解質となる混合炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムの混合物)を担体物質に担持させて作製し、電池性能を高めるためには出来るだけ多くの炭酸塩を安定に保持させなければならない。その作製プロセスとして前年度と同様、(a)混合法、(b)含浸法、(c)部分混合法によって種々の条件下で電解質タイルを作製し、気孔率、微構造、硬度、燃料電池の作動温度における形状変化などについて調べた。 この結果、ジルコニア酸リチウムおよびチタン酸リチウムのいずれも混合法および含浸法では十分な炭酸塩の保持量を確保出来なかった。 しかし、予め混合法によって炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムを含む多孔質焼結体を作り、これに炭酸リチウムを含浸させる部分混合法により炭酸塩の含有量が多く、変形の少ないタイルを作製することが出来た。電池の作動条件における耐久性は、炭酸リチウムから合成したチタン酸リチウムを担体としたタイルが最も優れていた。
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