研究課題/領域番号 |
63550593
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上松 敬禧 千葉大学, 工学部, 教授 (20009278)
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研究分担者 |
島津 省吾 千葉大学, 工学部, 助手 (10178957)
鈴木 喬 山梨大学, 工学部, 教授 (60020385)
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キーワード | 分子認識触媒 / 形状選択性 / フッ素雲母 / ホスト-ゲスト / 粘土化合物 / ピラリゼーション / 固定化錯体 / 水素化触媒 |
研究概要 |
[1]合成フッ素雲母の酸化物によるピラリゼーション 自由膨潤性のリチウムテニオライト(LTN)、リチウムヘクトライト(LHT)に対するジルコニウムイオンの導入を検討した結果[Zr_4(OH)_8(H_2O)_<16>]^<8+>または[Zr_4(OH)_<12>(H_2O)_<12>]^<4+>として定量的に層間Li^+とイオン交換することを確認した。これらを熱分解して層間酸化物とし、比表面積700〜800m^2、層間隔が2〜8A拡大した熱安定性の良い酸化物架橋雲母(PLC)を得た。現在、ピラー間隔の評価、架橋層間の物性測定、分子形状認識吸着能を検討中。 [2]雲母層間担持金属微粒子の調整と形状選択触媒 合成フッ素雲母の層間にイオン交換により[Pd(NH_3)_4]^<2+>、[Ru(NH_3)_6]^<2+>を導入し、水素還元して層間隔と金属粒子径のコントロール(10〜200A)された層間担持パラジウム触媒を調整し、オレフィンの水素化反応に対する選択性を検討した結果、層間の反応場によるオレフィンの鎖長、側鎖の有無と位置、二重結合位置を識別する選択的触媒能を見いだした。層間の拡大したPLCを担体とすると識別力が落ちることから層間構造の関与を証明した。 [3]雲母層間にインターカレートした金属錯体による分子識別触媒 遷移金属アンミン錯体またはトリスキレート錯体を層間に導入し、錯体の分子形状、溶媒の極性に応じ層間隔が5〜30Aと大きく拡大し、1〜2層のインターカレート構造の形成を確認した。このインターカレート型パラジウム錯体による各種アセチレンの水素化を検討した結果、分子形状選択性と顕著な部分水素化選択性を見いだした。 [4]層間修飾による化学固定基の導入と層間担持金属錯体による分子認識触媒作用 さらに安定な層間への担持の目的で層間にアミノ基を導入し、これに活性種のPd(II)錯体を固定した。この触媒も固定基の鎖長と溶媒の種類で層間隔をコントロールでき、モノオレフィン、ジエン類の水素化に顕著な形状、多重結合認識能と共役系識別能を示した。 以上の分子認識触媒の成果はまだ現象的段階であるが、さらに広範な系での確認とそのメカニズムの検討、有効な反応への適用を計画している。
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