研究課題/領域番号 |
63550601
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
上野 康定 岐阜大学, 工学部, 教授 (00021577)
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研究分担者 |
杉浦 隆 岐阜大学, 工学部, 助手 (40171144)
箕浦 秀樹 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40021612)
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キーワード | 3元化合物半導体の合成 / 3元化合物半導体被膜の電析 / 電気化学光電池 / 光アノード / 均一沈澱反応 / 定電位電解 / 添加剤 |
研究概要 |
(Cu_2S)_X(In_2S_3)_<1-X>系3元化合物半導体の微粉末を、Cu及びInの塩化物、チオ硫酸ナトリウムならびに酢酸を含む水溶液の加熱により均一沈澱反応で形成されるときの条件を調べた。この場合、反応系の溶液組成を調節することで、CuInS_2、CuIn_5S_8及びCuIn_<11>S_<17>の3種の化学種を作り分けて合成できることを確かめた。CuInS_2はpまたはn型の弱い光応答を示すに過ぎないが、禁制帯幅1.43eVをもつCuIn_5S_8とCuIn_<11>S_<17>とはn型の顕著な光応答を示した。後の2つを600℃で焼結して光アノードに用い、これらとPt対極及びポリ硫化物電解液を組み合わせた電気化学光電池の電池特性を測定した結果では、100mw/Cm^2の白色光照射下で3.3〜3.4%のエネルギー変換効率が得られた。それゆえ、この方法は低コストの光電極の作成方法として期待できることがわかった^<1)>。なお、銀化合物についても同様な合成方法の可能性を確かめている。一方、Cu-In-SeまたはAg-In-Se系化合物半導体の被膜を、各金属の硫酸塩とSeO_2を含む水溶液をpHメーターでpH=1に調整した電解液からTi板上に定電位電解により電析した。いずれも、3元素の同時電析が可能であるが、銅化合物ではCu^<2+>のunder-potential depositionによりCuInSe_2が析出し、表面抵抗計で測定した表面抵抗は600℃で被膜を焼結すると2桁下がり、結晶性が改善してpまたはn型の光応答を示した^<2)>。銀化合物では、Ag_2SeとInの2相が定電位析出しており、その後の熱処理によってAgInSe_2またはAgIn_5Se_3の被膜が形成されることを確かめた^<3)>。電解液に添加剤としてゼラチンを加えた効果は銅化合物において顕著を現れ、平滑で密着性のよい被膜の形成が膜面に垂直方向のEPMAによる組成分析を可能にし、この測定により化学量論比の被膜が5C/Cm^2以上の通電で得られることを確かめており、その禁制帯幅は1.0eVで文献値と一致した^<4)>。
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