BSF-A(1)の全合成を試みたが、その部分構造にα-ヒドロオキシフェニルプロピオン酸を含み、この構造はエーテル結合の形成の際にOH基の離脱を起しやすく、満足すべき結果は得られていない。そこで、エーテル結合の形成反応について更に検討を加えることとし、その過程でエーテル結合形成のためのモデル実験として2-メトオキシカルボニル-エチル-プロピル-2-エーテル(2)、1-メトオキシカルボニル-1-置換フェニル-メチル-プロピル-2-エーテル(3)、置換フェノキシ酢酸(4)を合成し、これらの化合物についてレタス幼苗について生長テストを試み、ハロゲン置換体では茎、根とも阻害作用が、メチル置換体では根の伸長作用のあることを認めた。現在、BSF-Aの合成と合わせて、アナログ合成を行っており、随時、生物活性をテストしている。また、AK-ToxiNの合成に関連して、アミノ酸合成、ペプチド合成に用いられるCbz-保護基はH_2-PdC/の系で行うのが普通であったが、従来のH_2/PdC系に変えてギ酸塩/PdC/水系によるCbz-基の脱離の一般化のためにスチレン、ニトロベンゼン、P-トリルアルデヒド、Cbz-アラニンをモデルとして適用し、高収率ではないが、所期の還元生成物の得られることが判ったので今後更に収率を上げられる様条件設定について検討することにしている。ちなみに、PdC触媒存在下におけるHCOOM1のH_2とM1HCO_3への分離反応は可逆的であり、水素ガスの貯蔵法としても重要な側面をもっている。
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