触媒基を持つクラウン環に捕捉されたアルカリ金属イオンの静電場を利用し、アニオン部を持つ基質を静電的相互作用で引き寄せ、反応部位を触媒部位に接近させると、加速性が発現する。この系はアニオン部を持つ基質に特異的であるともいえる。この系の延長として、クラウン環と触媒基との距離と加速性との関係、ビスクラウンチアゾリウム塩によるアニオン部を二個持つ基質の認識の可能性について、次の触媒を用いて検討した。 【chemical formula】 触媒2__ー、3__〜を用い、基質としてo-、m-、p-カルボキシベンズアルデヒドを用いるとNa^+、K^+の存在で2__〜はo-体(最高52倍)3__〜はp-体を最も加速することがわかった。触媒4__ー、5__ー、6__ーを用い、基質に下記のもの(A、B)を用いて、多点認識の可能性を検討した結果、4__〜はNa^+、K^+の存在でA、Bを全く識別できず、5__〜は約2倍、6__〜を用いると15倍B__〜をはやく酸化することがわかった。以上の結果はクラウン環と触媒基をうまく組み合わせることにより加速性のみならず、基質特異性を発現する触媒の可能性を示唆している。
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