研究概要 |
1.一連のビニルエーテル(1)のオゾン化をメタノール中で行うと、対応するαーメトキシ、ヒドロペルオキシド(2)が定量的に得られる。このことは、ビニルエーテル(1)のオゾン化で生成する一次オゾニドの開裂の方向が選択的であり、結果として目的とするカルボニルオキシド(4)が排他的に生成することを意味する。一方四塩化炭素のような非プロトン性溶媒中でのオゾン化では、カルボニルオキシド(4)の二量化生成物であるテトロキサン、環元生成物であるカルボニル化合物を含む複雑な生成物のみを与える。 2.アルコキシ置換基をもつオゾニドを合成する目的で,ポリエチレン上でのオゾン化を-78℃で行ったところ、目的とするαーメトキシ置上換オゾニド(1,2,4ートリオキソラン)(3)が30〜40%の収率で得られた。これは、ポリエチレン上では、カルボニルオキシド(4)と蟻酸アルキルの接触時間が長いため、反応性の低い蟻酸アルキルでさえ中間体(4)に付加するためと思われる。 3.溶液中でのオゾン化で副生する蟻酸アルキルのカルボニルオキシド(4)に対する反応性が低いことを利用して、カルボニル化合物およびイミンへの付加について検討した。一連のカルボニル化合物共存下での反応で生成するオゾニド(5)の収率から、カルボニル化合物の電子吸引性置換基がその反応性を顕著に増大させることを明らかにした。また、α,βー不飽和カルボニル共存下でのビニルエーテルのオゾン化では、興味ある構造をもつジオゾニドが好収率で得られる。イミンとの反応では、1,2,4ージオキサゾリジン(6)が高い収率で得られるが、これはカルボニルオキシド(4)がCーN二重結合に付加することを示す最初の例である。
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