研究課題/領域番号 |
63550651
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤原 祐三 広島大学, 工学部, 教授 (10029481)
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研究分担者 |
高木 謙 広島大学, 工学部, 助手 (80116615)
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キーワード | ランタノイド金属反応剤 / イッテルビウムによる有機合成 / サマリウムによる有機合成 / 非対称1、2-ジオ-ル / 1、3-ジオ-ル / α-ヒドロキシケトン / ケトンの極性変換 / アゾキシ化合物 |
研究概要 |
前年度はサマリウム金属(Sm)の強い脱酵素力を利用してニトロアレ-ンからアゾキシ化合物を選択的に合成する反応を開発した。最終年にあたる本年度はイッテルビウム金属(Yb)の強い還元力を用いることによりベンゾフェノン、フェニルメチルケトン、9-フルオレンなどのジアリ-ルケトンのカルボニル炭素を求電子性に変換し、これに各種ケトン、アルデヒドを求電子付加させることにより、従来の反応では合成が困難な非対称1、2-ジオ-ルを一段階で合成する反応の開発に成功した。非対称1、2-ジオ-ルは生理活性物質などの合成中間体として重要であるが、その一般的合成法はこれまでに無く、本研究によって初めて成功したものである。本法はYb金属自身を用いており操作が極めて簡単で、かつ温和な反応条件で高収率が得られるので有用な合成法である。 本反応はYbからジアク-ルケトンバ電子移動が起こり3員環メタラオキシラン中間体を経て進行すると考えられるので、この中間体の構造を明らかにするためにベンゾフェノンとYbの反応を赤外線吸収スペクトルを用いて検討した。その結果、ベンゾフェノンをTHF中でYb金属と反応させると1664cm^<-1>にあったカルボニル基のIR吸収が消失し、新しく1566cm^<-1>にメタラサイクルのピ-クが現れることがわかった。この溶液に水を加えると1566cm^<-01>の吸収は消え、また空気にさらすとベンゾフェノンが再生した。この中間体はいろいろな求電子剤と付加反応を起こすことも明らかになった。例えば、エポキシドを反応させると1、3-ジオ-ルが、ニトリルまたはエステルを反応させるとα-ヒドロキシカルボン酸が、トランを反応させるとアリリックアルコ-ルが容易に合成できる。 以上のように希土類金属のもつ特異な性質を利用する本研究プロジェクトにより新しい高選択的合成反応を開拓することに成功した。
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